2008年02月19日

北京大学てなもんや留学記 著者/谷崎光

昨日の続き

◎内容抜粋
『卒業したら、汚職どうする?』
(前半略)官僚になる人も多いこの学校では、卒業後の切実な問題は「汚職に関わるか否か」。「どうすんだ、公務員試験受ける?」「だけどなったら非貪不可(汚職しないわけにはいかない)だしなぁ。危険だ」「やらないほうが危険だ」 授業中、先生が中国人の学生たちに、「君たちが故郷に帰って知事などと話すときに……」というのを聞いて、この子たちは地元に帰るとそういうクラスなんだなーと思ったが、だからこそ、汚職はさらに深刻なのである。日本と違い、十人のうち九人までが汚職している環境で一人だけ清潔ならどうなるか。もちろん九人から陥れられる。小学校入学から前の方のいい席はお金で買う。大学入試共通試験の点数も一点一万元で買える。日常生活まで賄賂を見慣れた彼らにとっては、汚職は良い悪いというよりもはや生活に密着している問題。生きるためには汚れねばならぬ。日本だって官僚汚職はひどいが、少なくとも日常生活で役人に賄賂は要求されない。 中国の街中でよく見かける「運転免許手続き所」は大抵管轄の職員の親族がやっていて、つまり「金出せば順番飛ばしてあげるよー、免許を売ってるよー」である。まあこれぐらいを汚職と思う中国人はいないだろう。中国人の知人が免許を持っていれば、「買った? 取った?」と聞いて、誰も変に思わない。五道口辺りの小店でもよく公安がつかつかと入ってくる。店の商品を勝手に飲み食いし、当然のごとくお金を払わず出ていく。老板(山口注:社長・経営者のこと)いわく、「あいつらは自分たちの給料が安いから、悪いと思っていないんだ」正直、賄賂を全く拒否すれば、子供は学校に行けず、行っても不当な成績を与えられたり、引っ越しの登記もできず小さな店すら開けないということになる。現代中国にちょっと深く関わった人は、概ね、「なぜこんなに簡単に息をするように嘘をつく、人を騙す、良心はないのかー」て叫ぶことになる。私もそう思っていたが、ある時ふと気づいた。この人たちは子供の頃から騙され続けているんだ。それも一番酷いのは自分の国。メディアに流れる反吐がでそうな美しい言葉と、現実との極端な乖離の中で育ってきているのである。そりゃ、真似するでしょう、親とたとえられる国家の(中略)北京大学東門近くの胡同(山口注:路地裏)の中にある、おっそろしく汚い学生バー。ジュースか酒かわからない甘ったるい液体を舐めていると、話が政府の腐敗になった。「でもどうしてそこまで公務員が腐敗するの? みんなやるから?」「違う。権限が大きいからだ。何でも決められる、何でも出来る。集中し過ぎている。誰も彼らを管理できない」紀宮様と結婚された東京都庁の黒田さん。たとえば彼が腐敗とは生涯全く縁がないと言っても、そんな「夢物語」を信じる大陸の中国人はそういない。いや皇室と縁戚なら二十棟か、都庁の職員というだけで最低マンション二十室ぐらいは持っていると思うだろう。別の学生が言う。「国が腐敗を推進している。賄賂がないと生活できない」「なに、それ?」「公務員の給料が安いんだよ。僕の兄ちゃんは広西で公務員を一年で辞めた。手当てを全部入れて、給与は1ヶ月529元(約8000円)。飯も服も家も全部親もちだ。彼女に飯も奢れないし、結婚もできない」なんだか日本のフリーターみたい……。(中略)「なぜ改革は成功しなかったの?」「そりゃ、無理だ。一番権利が集中しているのが国家主席の胡錦涛だ。彼は軍隊と政府と法律と権限を全部握っているが、そうじゃなきゃたちどころに引きずり降ろされるのが中国という国だ」うーむ。中国!毛沢東もそうだったもんな。(中略)今の学生はほとんど全員、共産党が嫌いだし、政府批判は大学生の好きな話題だが、現実には公務員試験に大学生が殺到する。理由は安定性のみならずその後ろの灰色収入である。そもそも私にいろいろ解説してくれた院生は共産党員なのである。共産党って、頭いい、と思うのはこういう時で、大学によっては大学院に受かるのに共産党員が有利にしてある。公務員試験、国有企業の入社及び出世にも効力を発揮する。(中略)「じゃあ、あなたたちが卒業して役人になったとする。政府は競争のため自由化を推進したい。あなたは中止まではできないが、その地域で実施を何年か延ばせるぐらいの権限はもっている(ちょうどタクシーの自由化の話が出ていたので)既存のタクシー会社がマンションの二、三個を持ってご挨拶にきた。まずバレない。受けとる?」そこにいた大学生四人のうち、三人が答えた。「それぐらい、受けとる」えー!即答って、ギャグかなー。しかしギャグではなかった。(中略)「あなたは?」と聞かれたので、「私はしない」と言ったら、あんたみたいな(苦労なく育った)人にはわからない、と言われてしまった。中国はちょっと前まで、食うものもなかったんだぞ、俺が子供のころは芋の麺だ、家族がひとりでも大病になれば簡単に数十万元(約一千万円〓感覚的には一億円に近い)、あんたも中国人で親が病気になったらわかるわ。中国の大学生ひとりの後ろには何人の養わなくちゃいけない人がいるかあなた知ってる?それぐらいは「礼儀」で汚職とはいわない……。(後半略:P155〜P163)

明日へ続く

posted by 管理人 at 07:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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