2007年12月24日

サラブレッド・ビジネス―ラムタラと日本競馬 著者/江面弘也

《速く、そして美しく走るということのために、英国貴族たちの手によって、長い年月をかけて、産み出されてきた大地を駆ける生きた芸術品、サラブレッド。そのサラブレッドは大英帝国の発展にともない、ドーバー海峡を、大西洋を、地中海を越えて、遂にはその発祥の地、英国から見て遥か東の彼方の日本にまで、その雄姿を現し、多くの人々を魅了した。競馬という世界で、人々の夢と欲望を背に疾走し続けるサラブレッド。近代競馬の発祥地の英国で、その近代競馬を一攫千金のビッグ・ビジネスにと発展させたアメリカで、オイル・マネーのパワーで競馬界に強大な影響力を行使するようになったアラブで、そして世界第2位の経済大国で、同時に世界一の競馬の賞金大国である我が日本で、富と名誉を賭けて繰り広げられた数々のドラマを紹介する一冊》

皆さんは、ギャンブルに興味がありますか?

ギャンブルといって思い浮かぶものは、競馬、競輪、競艇、オートレースが我が国ではメインですよね。あと、屋内のゲームなら、パチンコ、麻雀、花札ってところですか。海外だと競馬はもちろん、ドッグレースというのもあるし、サッカーのトトカルチョや、ラスベガス、モナコ、マカオ等のカジノ。

宝くじの類は我が国はもちろん世界中にあるギャンブルだし、そうそう闘鶏なんていうのも、世界で広く行われているギャンブルとのこと。まあ、ギャンブルは当たりかハズレかを競うわけですから、どんなことでも賭けの対象に出来るわけですよね、合法か非合法かの別はあっても。イギリスのブックメーカーは、自国のスポーツだけに限らず、世界中のありとあらゆるスポーツやニュースやその他諸々の話題を賭けの対象にするのだとか。

賭博は原始においては、それぞれの社会や集団の吉凶を占うための宗教行事だったものが、世俗化して、酒や色事と並んで人類の(男の?)最古にして最大の娯楽となったわけですな。いわゆる「飲む・打つ・買う」というやつですね。賭博は、いえ、「飲む」(酒)も「買う」(色事)もそうなんですが、人類(男)の最古にして最大の娯楽ではあるが、それと同時に、最古にして最大の悪徳という意見もまた多いでしょう。

しかしこれまた酒や、色事と同様、長い歴史を人類とともに歩んで現在に至っており、その是非はともかくとして人類の、そして世界の歴史を、文化を知る上で欠かすことの出来ないものであると私は考えます。

かくいう私は、ギャンブルについては、ほとんど縁のない人間です。競馬とパチンコについて全く未経験というわけではないのですが、ほんの少しかじった程度で止めてしまい、それっきりです。競馬、パチンコともに上京してきた時の職場の先輩に誘われて、どちらも試しに3、4回やってみましたが、少しも面白いと思わず、それぞれ1万円ほどスってしまったところでバカらしくなって止めてしまいました。ただでさえ、貧乏なのに金を賭けてまでやるほどの面白味を感じませんでした。おそらくは私の育ちがギャンブルに興味を持たせなかったのではないでしょうか。なにしろ父がギャンブルを全くやらない人だったので、競馬ともパチンコとも麻雀とも花札とも宝くじとも、私は全く無縁なまま育ち、上京してきたわけです。

さて、そんな私なのですが今回は競馬に関する本の紹介をさせていただきます。競馬といえば、我が国では天皇賞だとか、菊花賞だとか、有馬記念だとかのレースですよね。走る馬は当然、サラブレッド。ちなみに競馬といえば、私の故郷の北海道では、北海道独自の地方競馬である、輓曳競馬というものがあります。輓曳競馬とは、馬がソリを曳いて競争をする北海道独自の競馬で、元々は明治時代に北海道の開拓民が切り出した材木を馬に曳かせて運ぶ仕事を、競技化したものだそうで、使用する馬も、サラブレッドではなくて、初めは道産子(北海道和種と呼ばれている馬)という馬が使われていたそうで、この道産子は、スマートなサラブレッドとは異なり、ずんぐりむっくりの体型をした、いかにも「力仕事専門です!」っていう感じの馬です。後に道産子よりさらに体格のよい、外国種である、ペルシュロン種やベルジャン種という大型馬が主流になったようですが、私が北海道在住の時代には、その輓曳競馬の競技は、旭川、岩見沢、帯広、北見という4つの市で開催されていました。

当然、競馬である以上、未成年が参加することはできないため、北海道在住時は未成年であり、18歳で上京して以降、片手の指で数えられるほどしか北海道に帰っていない私は、輓曳競馬の実物は一度も観たことはありません。その輓曳競馬ですが、近年では人気も下降し、かつての4つの開催市のうち、3つが撤退して、現在、競技を開催しているのは帯広市だけなのだとか。娯楽が無限とも思えるほど氾濫している現在ではそれも仕方ないことなのかもしれませんが、しかし私が思うに輓曳競馬は、ギャンブルという以前に、北海道開拓時代の歴史を現在に伝える貴重な文化遺産であり伝統芸能とも言えるのではないかと思うのです。

馬の経済的な価値が競馬のサラブレッド以外に、ほとんど見い出されなくなった現在、飼育の維持費用は大変かと思うのですが、何とか後世に残してほしいものです。そう切に願う昨今であります。私は競馬をはじめとして、自分が興じる趣味、娯楽としてのギャンブルは全くやりませんが、歴史、文化という視点からギャンブルについて調べ、考えていくことには興味を覚えます。

それは先述したように、ギャンブルは元々、吉凶を占う宗教行事(もちろん異論はあるでしょう)という、聖の面と、酒や色事と並び、享楽と退廃をもたらしたという俗の面を併せもちながら、古今東西を通じて、人間社会と切っても切れない産物だと考えるからです。是非善悪はともかく、人間の作り出した文化であります。特に競馬は、馬という、産業革命以前においては、農業に、輸送に、軍事に、その他諸々、人間の生活に必要不可欠な存在であり、馬なくして、人類の文明が今日のような発展には行き着かなかったといえるのではないでしょうか。

それは産業革命における蒸気機関発明以降も、依然、輸送・交通に馬は重要な存在であり続け、アメリカの自動車産業の大量生産システムにより世界に自動車が広まるまで、馬は人類の営みを支え続けてきた偉大な生き物であることは間違いありません。だからこそ、ギャンブルとしての競馬には手を出さない私も、馬と人類の歴史を知る上での知識としての競馬には関心を示すわけです。

まして競争馬の代名詞であるサラブレッドは、英国で創出されたとはいっても、起源を辿れば、アラブ、トルコ、北アフリカの三種に行き着くとされ、それが英国からさらに近代競馬の発展とともに世界へ拡がった。その競馬とサラブレッドをめぐって英国のみならず、アメリカのドル、アラブのオイル・マネー、日本の円によって、サラブレッドが海を、国境を越えて世界を駆け巡るということは、国際経済を知ることにも繋がるのではないでしょうか。

単なるギャンブルではなく、ある意味、競馬は人類の、世界の歴史の一面を知るための素材とも言えるのではないでしょうか。競馬に興味がある人はもちろん、そうでない人も、馬を、サラブレッドを通して、人類の夢と欲望、知恵と情熱の歴史を覗いてはみませんか。

明日へ続く

posted by 管理人 at 07:00| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
宜しければクリックを、人気blogランキングへ
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。