2011年03月29日

セーラが町にやってきた 著者/清野 由美

昨日の続き

その蒸し米を冷ましたら、今度はサウナのような麹室で、麹菌を振りかけ、発酵の準備を施す。

米を洗う水は手が痺れるほど冷たい。

蒸し器から立ち上がるのは高温の水蒸気だ。

麹室では杜氏、蔵人が上半身を裸にし、汗を流しながら作業にあたる。

それら一連の仕事は、一言で言い表すことができないほど複雑、繊細で、体力のある男性でも骨が折れるものだ。

作業行程の独自の流れがきちんと築かれている蔵の中では、素人が下手に手出しをしても邪魔になるだけだ。

セーラは言われたことだけに従い、後は蔵人たちが行う作業を黙々と見続けた。

枡一の大杜氏、十五の歳から六十年以上も酒造りに関わってきた遠山隆吉は「金髪の外国人が物珍しいと思ってきたのだろう」と、あまり気にも留めなかったが、その一日はセーラの内部に、日本酒が体現する日本文化の奥深さを、静かに、強く染み込ませた。

明日へ続く


posted by 管理人 at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 文化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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