2011年02月22日

塩の文明誌〜人と環境をめぐる5000年 著者/佐藤 洋一郎

昨日の続き

『塩・鉄・レンガ』

文明の要件は、狩猟・採集経済に比べて安定的な農業生産と、都市という高い人口密度に支えられた様々な経済活動が存在することである。

製塩が多量の薪炭を消費したことは前頁でも触れたとおりである。

岩塩ならばその必要がなさそうにも思えるが、実のところ岩塩の採鉱には水を使うことも多い。

つまり、岩塩をいったん水で溶かし、それを汲み上げて煮詰めるのである。

この場合には、塩を作るにはやはり薪炭を必要とすることになる。

薪炭を使うのは製鉄も同じだ。

農業生産の仕掛けとして、灌漑水路や農耕具が必要であることは言うまでもない。

水路の建造には鉄器の存在が大きな役割を果たした。

農具も、鉄製の農具とそれ以前の農具とでは機能に大きな違いがある。

鉄以前には青銅が使われたが、青銅の精錬にも薪炭が必要だった。

都市の仕掛けとして、レンガの存在は極めて重要である。

文明の黎明期にはレンガは日干しのものが多かったが、その後、焼成レンガが登場した。

古代文明の都市でも、インダス文明の都市ハラッパやモヘンジョダロの建造物は焼成レンガである。

中国でも、万里の長城の外壁は多くが焼成レンガで造られている。

長江文明も、方形のレンガではないものの、焼成した不正形の焼成レンガが使われていたと安田喜憲氏(山口注:地理学・考古学者。古代文明の比較研究をメインに活動)は言う。

こうしてみると塩、鉄、レンガという文明の仕掛けに必須のもの作りに共通するのが、多量の薪炭を必要とする点である。

文明の範囲が広がり、規模が大きくなり、人口が増えるにつれ、森林は急速に破壊された。

単に建造用として、または調理や暖房のための薪炭として伐られただけではなかったのである。(P182・P183)

明日へ続く


posted by 管理人 at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 世界史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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