2011年02月14日

塩の文明誌〜人と環境をめぐる5000年 著者/佐藤 洋一郎

昨日の続き

『税・専売・貨幣』

塩にはもうひとつ、通貨という顔がある。

通貨として使うモノには、幾つかの条件をクリアすることが必要だ。

安定的な物質であること、希少価値があること、等質性が保てること、そして何より人々がその物質に信頼を寄せることなどである。

古代から中世にかけての欧州では、塩はまさに通貨の代わりをしていた。

給与を意味する「サラリー」の語源が塩であることはよく知られているとおりだ。

アメリカの科学史家ロバート・P・マルソーフによれば、ローマで塩の専売制がとられるようになったのは、紀元前506年のことであったという。

欧州ではローマ以後も、国家による塩に対する課税、あるいは専売制のような統制の制度は国家の税制と深く結び付いて変遷を繰り返したようである。

その背景には、塩の消費量を調べれば人口が推定できるという計算があったようだ。

同じくマルソーフは、中国では「塩の豊富な地方から年貢として塩を集める制度が紀元前2000年頃から出来上がっていた」と書いている(マルソーフ『塩の世界史』)。

なお、こうした状況は「塩本位制」とでもいうべき制度があった可能性を彷彿とさせるが、この「塩本位制」は、かつては世界中いたるところで成立していたようだ。

それほどまでに塩は重要な物産だったのである。

塩はまた軍事物資としての顔も持っている。

前出の岸本氏(山口注:考古学者岸本雅敏氏。古代日本の塩の生産と流通についての調査を行った。本書P19より)によると、古代の日本では国家に塩を納める国が西南日本に限られていたにもかかわらず、八世紀にはいると佐渡島で急に塩の生産がはじまっているのだという。

そしてその塩は律令国家の東北への勢力拡大の時期に一致しているという。

加えて、軍事的緊張の高まりから塩の徴用が行われていたという。

日本では、すでに古代以前から、塩が経済・軍事の要になっていたことがわかるのである。(P26・P27)

明日へ続く


posted by 管理人 at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 世界史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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