2010年12月24日

有坂銃―日露戦争の本当の勝因 著者/兵頭 二十八

昨日の続き

『旧軍歩兵銃に「白兵主義」無し』

ロシア軍の1891年式小銃の外見上の特徴は、三角断面の長い銃槍が銃口に固定されていることであった。

銃槍がなければ、銃全長は1・29mなのだが、着剣した状態では、全長は1・73mもあった。

ロシア独特といえたのは、この銃槍が、照星によってしっかりとネジ止めされていたことだ。

事実上、それは着脱式ではなかった。

ロシア軍の歩兵は、普段から長い銃槍をつけたままの歩兵銃を持ち歩くことを強いられていたわけである。

北清事変のとき(旧式銃装備の英領ベンガル兵を除けば)ロシア兵だけがいつも「着剣吊れ銃(つつ)」でノシ歩いているのを、日本軍将兵も間近に見、その長大なリーチともども、浅からぬ印象を受けたはずである。

この半固定式銃槍は、諸外国のワンタッチ着脱式銃剣に比べて、より激しい格闘にも不安なく臨めるというメリットはあろうが、平時の訓練には危険千万なばかりか、的を狙って据銃したときの重心が引金部よりもずっと前に来るから、数度躍進後の呼吸の乱れているときに丁寧な照準をつけることなどは望めないのであった。

こうした武器の形態からも、ロシア軍の歩兵戦術思想がいかに狙撃を軽視し、銃剣突撃に重きをおくものであったかが窺える。

一方、ロシア軍の連発銃採用から5年後の1896年に設計・完成された我が三十年式歩兵銃は、剣なし全長1・27m、剣付全長で1・67mである。

この数値を見比べただけで、日本の小銃が、はじめからロシア軍小銃の白兵戦時のリーチを意識していないことは、明らかだと思う。

明日へ続く


posted by 管理人 at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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