2009年02月24日

変見自在 スーチー女史は善人か 著者/高山 正之

昨日の続き

『検証されない嘘』

第一次大戦では1500万人が死んだ。 ソンムの戦いでは四ヵ月間で150万人もが戦死した。毎日1万2000人が戦死し、それが120日間も続いたというのだ。 そんな馬鹿を続けたのは双方が双方とも、これが決定打だと毒ガスやら戦車やらグロテスクな兵器を次々開発しては戦場に持ち込んでいったからだ。 その中には誕生間もない飛行機も含まれていた。最初は先を尖らせた鉄棒を空からばら撒いた。 鉄棒は塹壕に隠れる兵士を頭から串刺しにした。 しかしこの馬鹿げた戦争に決着をつけたのは戦車でも飛行機でもなく「情報」だった、とアンヌ・モレリは著書『戦争プロパガンダ10の法則』で言う。 例えばドイツ軍の侵攻を受けたベルギーからの生々しいニュースだ。彼らドイツ兵は子供にも残忍な牙を剥き「子供たちと見れば手首を切り落としていった」と。 この情報は中立を保っていた米国の世論を揺るがし、ある富豪は手首を失った子供たちを引き取ると語った。 英デーリー・メール紙はブリュッセル郊外でドイツ軍が民家に火をかけ、家族を皆殺しにした事件を詳報した。 最後に「死んだ母親に抱かれた赤ん坊にドイツ兵がまさに銃剣を突き立てようとしたときに味方の軍が来て赤ん坊は救われた」と。 同紙は多くの読者から赤ちゃんを引き取りたいという手紙が殺到した。 アレクサンドラ王女からは赤ちゃんに着せてと幼児服が届けられた。 国際世論がドイツ非難に傾く中でベルギーの病院での出来事が伝えられた。 「ドイツ兵は保育器の中の未熟児を取り出し、バトミントンのシャトルのように放り上げては銃剣で突き刺した」。 赤ん坊はぼろきれのように殺された、と。 フランスのゼンプスト村も酸鼻を極めた。 「ドイツ兵は村中の女を犯した」。 「馬商人のD・トルデンは縛り上げられ、目の前で9歳の長男がナイフで切り刻まれ、13歳の娘も強姦されて殺された。彼の妻も犯されたうえ射殺された」 ドイツ軍は「囚人の死体から潤滑油をとっている」とか「ドイツ空軍は故意に病院を爆撃した」とか悪行も伝えられた。 「手首」で揺らいだ米国世論はこうした続報で完全に風向きが変わり、参戦に踏み切る。 そしてそれが大戦を終結させた。

明日へ続く

posted by 管理人 at 07:00| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 人文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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