2008年09月07日

カラシニコフ自伝 世界一有名な銃を創った男 著者/エレナ・ジョリー, 山本 知子

《ロシア革命直後の凄惨な内戦で混沌と化した1919年のある日、ロシアの大地に農民の息子として生を受けたミハイル・カラシニコフ。 彼はナチス・ドイツの侵攻から祖国ロシアを守るために優れた銃の開発と製造に生涯を捧げることを心に決めた。そしてこの男が創り出した一挺の銃が、ナチスドイツ滅亡後の20世紀後半の世界において、戦争と革命、内乱、テロリズムの嵐が吹き荒れる国や地域において、魔のアイテムとして怖れられることとなった。 ベトナムやカンボジアで、南米で、中東で、アフリカで……、戦乱と破壊のあるところ、必ずカラシニコフ(AK47)有り。 アメリカのM16と世界の武器勢力図上で競いあったカラシニコフ(AK47)。 そして21世紀の現在もイラクで、アフガニスタンで、その他ありとあらゆる戦乱の地でこの銃が火を吹いている。世界一有名な銃とも呼ばれるこの銃を創った男の人生が明かされた一冊》

さて、今回紹介いたします本は、さすがにマニアック過ぎて、タイトルを見ただけでは、多分ミリタリー・オタクの人でないと何の本やらさっぱり解らないでしょうし、軍事や国際政治等には興味が無くて、食べ物や雑学等の本の紹介を楽しみに当インテリジェンスにアクセスしていただいている方々は、この時点で退いてしまいそうな本の紹介なわけですが……f(^_^;

「カラシニコフ」とは、ミハイル・チモフェエヴィチ・カラシニコフというロシア人の姓で、そしてこのロシア人が創り出した自動小銃につけられた名称のことなのです。

その銃の正式名称は、「AK47」。

AKとは、「アフタマート・カラシュニカヴァ」。

つまりそれはロシア語で「47年型カラシニコフ自動小銃」という意味なのだそうな。

本書の執筆者のエレナ・ジョリー女史は、本書の語り部であり主人公であるカラシニコフ氏の娘の友人であることが縁となって本書の執筆となったわけですが、彼女曰く、 「世界でもっとも頻繁に口にされるロシア人の名前は、レーニンでもスターリンでもゴルバチョフでもない。カラシニコフだ」 というのです。

私たち日本人にはカラシニコフなんて名前は職業的に軍事やロシア事情に関わっている人か、あるいは軍事に興味がある武器オタクくらいしか知る人はいないマイナーなロシア人なはずですが、しかしそれは敗戦後の、軍事アレルギーによる平和ボケ社会に長年浸かりきった日本ならではのことで、彼女の言葉は次の事情を知れば納得できます。

カラシニコフ小銃こと、AK47は47という数字が示すように1947年にロシア(当時はソビエト連邦)の軍隊に正式採用された武器なわけですが、それ以後、東西冷戦という国際情勢の下で、世界に共産主義革命を広めるソ連の世界戦略に基づき、アメリカを中心にした資本主義体制と対立する国家や武装組織にソ連から(後に中国もコピーを生産・輸出を開始する)大量に供給されたわけです。

インドシナの戦場でベトコンや、カンボジアのポルポト派の兵士に、中東の戦場でイスラエルと戦うアラブ諸国の兵士やパレスチナゲリラに、南米やアフリカの共産主義ゲリラにと、そういう兵士やゲリラ、さらにはテロリストたちの手にもたらされたカラシニコフ小銃の数は膨大なもので、エレナ女史は「正確な数こそ誰にもわからないが、6千万とも8千万ともいわれる」と述べております。

ちなみに随分昔に読んだある本に書いてあったことですが、東西冷戦時代のソ連は内戦と干魃による飢餓に苦しむアフリカ諸国に、食糧は援助しなくても共産主義ゲリラの武器援助としてのカラシニコフ小銃だけは大量に供給したという文章を読んだ記憶があります。

不覚にもその本が誰が書いた何という本かは忘れてしまいましたが、もしその話が本当だとしたら、確かにカラシニコフが世界でもっとも、頻繁に口にされるロシア人の名前になるはずです。

政治家や芸術家やスポーツ選手なら、そういう情報に接するためにはテレビやら新聞やら書籍やらが必要で、ある一定の豊かさと識字率と時間的余裕が必要で、貧困や戦乱に苦しむ人々には無縁だけど、カラシニコフ小銃は貧困と戦乱が溢れるほとんどすべての場所において、そこの民衆が望むか、望まないかは別にして関わってきたといっていいわけですから、確かに貧困と文盲でテレビや新聞や書籍と無縁な人々にまでその名は知られるはずですね。

そのためか多くの人々には「AK47(カラシニコフ小銃)=共産主義ゲリラ&テロリストの武器」というイメージが、そのままカラシニコフ銃のイメージとイコールになってしまっているのではないかと。

明日へ続く

posted by 管理人 at 07:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 人文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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